
この映画は、数々の話題映画を生み出しているENBUゼミナール主催の「CINEMA PROJECT」の第7弾として作られた映画です。
通常の映画と異なりたった2館からの上映スタートとなりましたが、口コミで話題となり最終的には200館を超える劇場で上映されました。
一見ただのゾンビもののホラー映画かと思えますが、多くの工夫がほどこされたコメディ映画。またたく間に大ヒット作へと成長しました。
カメラを止めるな!のあらすじ
ある呪われた山で、ゾンビ映画を撮る撮影隊。同じシーンを何十カットも撮る中、怪しい物陰が。キャストが次々とゾンビになっていくパニックホラー映画と思いきや、、、
とある売れない映画監督日暮隆之にテレビの企画で「ワンカットでゾンビドラマを撮影する」という企画がプロデューサーから持ち込まれます。
ゾンビものをワンカットで取るというとんでもない企画ではありましたが、断り切れず日暮はしぶしぶ承諾。
企画名「ONE CUT OF THE DEAD」がスタートすることになりました。
日暮のもとに集まったのは、我が強い若手俳優、現場に赤ちゃん連れてくる女優、事務所を盾に演出にタブーばかり言う女優、アルコール中毒の中年俳優など個性的な面々。
このまま本当に企画がうまくいくのだろうか、と日暮は不安を感じ始めます。
そんな中でスタートしたプロジェクト。台本の読み合わせから赤ちゃんは泣き出し、それぞれが自分の主張ばかり通す、なんともまとまらない会議となりました。
そんな中でも日暮は優しい性格もあり、言いたいことも言えずにキャストに気を遣うばかり。
そうした中で、ついに撮影本番の日がやってきます。
ドラマのストーリーは撮影隊がある、呪われたといわくつきの山に入り、撮影をする中で、キャストが次々とゾンビ化するというありふれたストーリーですが、なんと監督役の俳優と女優が車で現場に向かっていたところ、交通事故に遭ってしまい、来られなくなるという大事件が起こります。
今更企画をキャンセルはできない事態、苦肉の策で出た代案がなんと夫の応援で撮影にきていた元女優の妻、日暮晴美を起用するという案です。
彼女は女優を引退した後も、密かに女優復帰したいという思いがあり、夫の台本を何十回と熟読し、完璧に頭に入っていました。
そして、監督役には日暮監督本人が代役を務めることに。いったい作品はどうなってしまうのでしょうか。
作品概要
作品公開 | 2017年11月4日 |
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監督・脚本 | 上田慎一郎 |
キャスト | 濱津隆之・真魚・しゅはまはるみ・秋山ゆずき・長屋和彰・細井学・市原洋・山﨑俊太郎・大沢真一郎・竹原芳子 |
カメラを止めるな!のキャスト役
- 濱津隆之 / 日暮隆之役
- ワンカットドラマの監督。あるトラブルから、ドラマでも監督役として出演することになる。優しい性格で言いたいことがあっても言えないタイプ。ドラマでは作品愛(?)から豹変する。
- 真魚 / 日暮真央役
- 隆之の娘で大学生。父と同じく映画の世界を志す。作品の情熱が強すぎるあまり、周りと衝突することもしばしば。ワンカットドラマには見学のつもりで同行するが、途中から機転を利かし、トラブルに対処していく重要な役割を担う。作品に対する姿勢が甘い父親を軽蔑し、反りが合わない。
- しゅはまはるみ / 日暮晴美役
- 隆之の妻。元女優。役に入り込みトラブルを起こすことがあり、引退する。現在は、専業主婦として家庭を支えている。ワンカットドラマのメイク役が交通事故に合い、出演不可能になった際、当初は見学の予定であったが、元女優であったこと、興味本位で台本を熟読し、暗記していたことから急遽出演することとなる。途中から我を忘れ、迫真の演技を行う。
- 秋山ゆずき / 松本逢花役
- ドラマの主演の女優役アイドル。やりたくないことは、「事務所がNG」という理由でわがまま放題。撮影に対するモチベーションも低い。
- 長屋和彰 / 神谷和明役
- ドラマの男優役。売れっ子の俳優。(真央は長屋の大ファンで、彼を目当てに撮影を見学)プライドが高く、我が強い。独自の持論で設定や演出を変えてしまう。
- 細井学 / 細田学
- ドラマのカメラマン役。中年男性で元々日堀とは現場で交流がある。アルコール中毒で、酒が原因でトラブルを起こしている。ドラマではアルコール中毒が功を奏する。
カメラを止めるな!の感想
なかなかチケットが取れない、と話題の作品で期待して行きました。結果的に、予想を上回る面白さでした。
冒頭30分でワンカットドラマが流されるところから映画が始まります。
なんともチープでありきたりなゾンビ映画が淡々と流れエンディング。
「え?何この映画?ハズレ!?」と一瞬裏切られた気持ちになります。
そこから、ワンカットドラマの企画が監督に持ち込まれるシーンに移ります。
そうです、この映画はまずはゾンビもののドラマを観客に見せ、その作品を企画段階から撮影現場を見せていくという展開になっています。
温厚な性格の日堀が、監督役になると豹変し、それに影響され他の女優も演技に迫力が出てくる。中年のアルコール中毒のダメ俳優がまさかの撮影現場で、飲酒。
それによりベロベロになり、ゾンビさながらの動きを見せるなどなど、トラブル続きのワンカット撮影ですが、そのトラブルが見事にドラマをよいものにしていくのです。
そのドタバタ劇が実におもしろく、笑える映画です。最初にドラマを見せておいて、撮影現場の視点を観客に見せる。
観客からは、あのシーンはこうやってできていたのかと、発見につながるわけです。このような作り方の映画は、ありそうで意外にないのではないでしょうか?
ホラー映画かとおもいきやかなり笑えるコメディ映画です。話もわかりやすく純粋にリラックスして楽しめる映画だと思いました。